治療
薬物療法、手術療法、リハビリテーションが治療になります。また病気の内容、薬の内容、日常生活動作の注意点などを患者さんに理解していただくことも重要になります。
治療の基本は薬物療法で、それに手術療法、リハビリテーションを付け加えて治療します。癌のように手術で病変を完全に取り除けば治る病気ではありませんので、治療目標はいかに関節リウマチの炎症を抑え込んで、病気であることがわからない状態(寛解といいます)にまで持ってくることを目標とします。また、すでに関節リウマチを発症してから何年も何十年も経過している場合はすでに手足の関節が変形していることが多く、そのような場合は完全に無症状になることが難しくなるので、できるだけ炎症が低い状態(低疾患活動性といいます)になることを目標として、薬物療法をおこなっていきます。
薬物療法の基本は、抗リウマチ薬といわれる免疫抑制剤{メトトレキサート(リウマトレックス®、メトレート®)、タクロリムス(プログラフ®)、レフルノミド(アラバ®)、ミゾリビン(ブレディニン®)など}、免疫調節剤{ブシラミン(リマチル®)、サラゾスルファピリジン(アザルフィジン®)、イグラチモド(ケアラム®)、金製剤(シオゾール®注射)など}で炎症を抑えることが中心となり、それに、消炎鎮痛剤、ステロイド剤、関節注射などを組み合わせます。それでも炎症が抑えきれない場合は、生物学的製剤{インフリキシマブ(レミケード®)、エタネルセプト(エンブレル®)、アダリムマブ(ヒュミラ®)、トシリズマブ(アクテムラ®)、アバタセプト(オレンシア®)、ゴリムマブ(シンポニー®)、セルトリズマブ・ペゴル(シムジア®)、サリルマブ(ケブザラ®)}、JAK阻害剤{トファシチニブ(ゼルヤンツ®)、バリシチニブ(オルミエント®)、ペフィシチニブ(スマイラフ®)、ウパダシチニブ(リンヴォック®)、フィルゴチニブ(ジセレカ®)}などを組み合わせて治療します。生物学的製剤の治療は高額になることが多いですが、バイオシミラーと呼ばれる飲み薬でいうところのジェネリック医薬品にあたる比較的安価な製剤もでてきており、以前より治療に取り組みやすくなってきています(インフリキシマブBS®、エタネルセプトBS®、アダリムマブBS®)。最近の10~15年の間で関節リウマチの薬剤は新しい薬がどんどんでてきましたので、薬の特徴や使い分けなどは専門家でないとなかなか困難になってきました。いずれの治療も当院では施行可能ですので、当院では患者さまに最適な薬剤の提案をさせていただけます。また、効果の高い治療薬で治療をしていますと、感染症をはじめとした合併症を生じることが少なからずあります。そのような場合で入院治療が必要となる場合は、信頼できる医療機関を紹介させていただきます。
すでに変形して疼痛、機能障害を呈している関節や、残念ながら関節が変形していくのが進行した場合は、薬物療法に固執せず手術療法を選択した方が、身体機能が改善し、生活の質が向上する場合があります。私はいままで関節リウマチ患者さんの手術療法をメインに治療してきており、手術療法により日常生活動作が飛躍的に改善された患者さまを何人も見てきております。手術療法が望ましいと考えられる患者さまには、最善のタイミングで手術療法を提案し、適切な治療が行える医療機関を紹介させていただきます。