リウマチ科について

リウマチとは

リウマチとは現在では一般的に、関節リウマチ(rheumatoid arthritis)のことを差します。

語源をさかのぼると、リウマチ(rheumatism)とは古代ギリシャ語の流れるという意味のロイマ(rheuma)が語源とされ、悪い体液成分が身体各部を流れていき停滞したところに病変が起こるとされてきました。これは関節リウマチ患者の痛みが全身性・多発性に出現することから使われていたようです。

転じて欧米では、リウマチとは関節・骨・筋肉のこわばり・腫れ・痛みなどの症状を呈する病気に対して使われ、これらをひっくるめてリウマチ性疾患と呼びます。関節リウマチ以外に、変形性関節症、痛風、偽痛風、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、リウマチ熱などすべて含まれ、欧米ではリウマトロジスト(rheumatologist)と呼ばれる医者が治療にあたります。

日本では、リウマチとは関節リウマチとほぼ同義語で使われていますが、あちこち痛みが出ることをリウマチが出たという表現をされることがあり、語源を考えるとあながち間違いではありません。しかし、いわゆる「リウマチ」と関節リウマチとは明確に区別して用いなければいけません。日本ではリウマチ専門の整形外科医と内科医が診療に当たりますが、リウマチ科を標榜する科では、関節リウマチはじめ、リウマチ性疾患全般について診断と治療を行ってまいります。

関節リウマチについて

関節リウマチとは

関節リウマチ(rheumatoid arthritis)とは、多発性関節炎を主徴とする原因不明の慢性炎症性自己免疫疾患で、最も頻度の高い膠原病疾患です。以前は慢性関節リウマチと言われていましたが、必ずしも慢性に経過する例ばかりでないことと、英語表記に慢性という言葉が含まれていないことから2006年以降、正式名称が関節リウマチに変更になっています。主病変は関節滑膜で、寛解と再燃を繰り返し、進行すれば軟骨、骨を侵し、関節組織の破壊や変形へと至ります。

症状

朝のこわばり、関節の腫れ、痛み、変形を呈し、進行すれば歩行障害、機能障害がすすみ、日常生活動作が障害されていきます。間質性肺炎、皮下結節、強膜炎、アミロイド―シスなどの関節外症状がみられることもあります。関節炎は全身のどの関節にも起こりえますが、初発症状としては、手の指、手首、膝、足の指、肩、足首、肘の順に多くみられます。

原因

関節リウマチの原因は不明です。現在のところの有力な説は、何らかの病気に関連する遺伝子(疾患感受性遺伝子)の背景をもった人に、喫煙、歯周病、腸内細菌叢の乱れなどが影響して遺伝子が修飾され、体内にシトルリン化蛋白を形成し、それに対する自己抗体(抗シトルリン化ペプチド抗体)が生成され、免疫寛容が破綻し、自己免疫異常として関節内の滑膜炎が生じることが病気の発症の発端だとされています。

疫学

有病率は約0.5%とされ、日本では約70万人の患者さんがいると推定されています。発症年齢は30~50歳代に多いとされていますが、高齢化に伴い、60台以降に発症する患者さんの割合も増えてきています。男女比は1 : 3~4で女性の方が多くみられます。遺伝性疾患ではありませんが、一卵性双生児で片方が関節リウマチである場合はもう片方の発症率が一般の約10倍になると言われており、何らかの遺伝的関与はあるのではないかと言われていますが、環境要因の方が影響力が強いと言われています。

診断

決定的な診断方法はなく、問診、診察所見、血液検査、画像検査を組み合わせて診断します。1987年、2010年にアメリカリウマチ学会及びヨーロッパリウマチ学会が提唱した関節リウマチ診断基準(分類基準)にのっとって診断します。すでに関節リウマチに典型的な関節の変形やレントゲン変化を認める例の診断は容易ですが、発症早期の方の診断はしばしば困難なことがあります。その中でも重要なのは、診察上、画像上で明らかに関節炎(関節の腫れ)があること、症状が数週間以上持続していること、血液検査でリウマチ関連検査が陽性であること(リウマチ因子、抗環状シトルリン化ペプチド抗体)、炎症反応(CRPや赤沈)が高いこと、レントゲン変化がなくても他の画像診断(MRIや超音波)で関節炎が認められることなどが診断の決め手になります。また、もう一つ重要なのは、関節リウマチ以外の疾患を上記のような診断過程で除外することで、誤った治療を施さないことです。当院ではMRI以外の検査は可能ですので、発症早期からでも的確な診断が可能です。MRI検査が必要な場合は近隣の医療機関に検査依頼をすることができます。

治療

薬物療法、手術療法、リハビリテーションが治療になります。また病気の内容、薬の内容、日常生活動作の注意点などを患者さんに理解していただくことも重要になります。

治療の基本は薬物療法で、それに手術療法、リハビリテーションを付け加えて治療します。癌のように手術で病変を完全に取り除けば治る病気ではありませんので、治療目標はいかに関節リウマチの炎症を抑え込んで、病気であることがわからない状態(寛解といいます)にまで持ってくることを目標とします。また、すでに関節リウマチを発症してから何年も何十年も経過している場合はすでに手足の関節が変形していることが多く、そのような場合は完全に無症状になることが難しくなるので、できるだけ炎症が低い状態(低疾患活動性といいます)になることを目標として、薬物療法をおこなっていきます。

薬物療法の基本は、抗リウマチ薬といわれる免疫抑制剤(リウマトレックス、プログラフ、アラバ、ブレディニンなど)、免疫調節剤(リマチル、アザルフィジン、イグラチモド、シオゾールなど)で炎症を抑えることが中心となり、それに、消炎鎮痛剤、ステロイド剤、関節注射などを組み合わせます。それでも炎症が抑えきれない場合は、生物学的製剤(レミケード、エンブレル、ヒュミラ、アクテムラ、オレンシア、シンポニー、シムジア)、キナーゼ阻害剤(ゼルヤンツ)などを組み合わせて治療します。最近の10~15年の間で関節リウマチの薬剤は新しい薬がどんどんでてきましたので、薬の特徴や使い分けなどは専門家でないとなかなか困難になってきました。いずれの治療も当院では施行可能ですので、当院では患者さまに最適な薬剤の提案をさせていただけます。また、効果の高い治療薬で治療をしていますと、感染症をはじめとした合併症を生じることが少なからずあります。そのような場合で入院治療が必要となる場合は、信頼できる医療機関を紹介させていただきます。

すでに変形して疼痛、機能障害を呈している関節や、残念ながら関節が変形していくのが進行した場合は、薬物療法に固執せず手術療法を選択した方が、身体機能が改善し、生活の質が向上する場合があります。私はいままで関節リウマチ患者さんの手術療法をメインに治療してきており、手術療法により日常生活動作が飛躍的に改善された患者さまを何人も見てきております。手術療法が望ましいと考えられる患者さまには、最善のタイミングで手術療法を提案し、適切な治療が行える医療機関を紹介させていただきます。

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